今日は満潮に乗って/アガサ・クリスティの読書感想文を書きます。

この話は、戦時中空襲によって死亡した大富豪の遺産を、たった一人で相続した若く美しい未亡人。
そして大富豪からの後ろ盾を失って困窮する親戚たちをめぐる話です。
大富豪の経済的な支援に甘えて、彼の死後その遺産がないと立ち行かなくなる親戚たち…。
これだけ抜き出すとめちゃくちゃ嫌な人たちに見えちゃいます。
でも実際クロード家(富豪の一族)は全員いい人たちで、読んでいると彼らを好きになってしまいます。
冒頭100ページくらいは大富豪・クロード氏亡き後の親戚たちの窮状が書かれます。
彼らはみなまっとうに職業を持っていて、人格も優れていて家族仲も良好です。
戦争や不幸のせいで生活に困っているだけで、博打やら豪遊でお金をスったみたいな人は一人もいません。
なんなら遺産を独り占めしている未亡人・ロザリーンにも同情しているような人たちです。(ちょっとバカにしてるけど)
というように、この本は冒頭三分の一くらい『一族の現状』に割かれていて、なかなか殺人は起こりません。
でも、アガサ・クリスティ先生のなかなか殺人が起こらないタイプの本って人間ドラマとして面白くて、この本もただのミステリというより群像劇として面白いんですね。
犯人も割とわかりやすいです、むしろ恋のさや当ての方がわかりにくいくらい。
アガサ・クリスティ先生の本って殺人と恋愛が絡むお話が多いですよね。
本来私はミステリー×恋愛ってあまり組合せとしては好きではないのですが、アガサ・クリスティ先生の本の恋愛パートはなんか別腹なんですよね…。
雨降って地固まる展開というか、割と恋愛と殺人事件が紐づいているからかもしれません。


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